プラントでは、多くの場合、一度に1台の機械を改善していきます。しかし、プラントは全体として機能するものです。冷却システムと乾燥機は、それぞれ効率的に稼働しているにもかかわらず、ある機会が活用されていない可能性があります。つまり、一方が必要としている熱を、もう一方が取り除いているというような状況です。あるいは、設備が意図した通りに稼働しているとしても、その生産要件が変更されている場合もあります。また、これは1回限りの取り組みでもありません。プラントのパフォーマンスを向上させるには、適切な機会を特定することから始まり、統合的な導入を経て継続され、長期にわたる運用改善にかかっています。これが、GEAのBetter Journeyの根底にある考え方、つまりThink Better、Build Better、そしてRun Betterです。
3つの酪農プロジェクトが、これが実際に何を意味するかを示しています。Arla Foods社では、エネルギーの流れを広く見渡した結果、噴霧乾燥機そのものを超えた改善の機会が明らかになりました。Aurivo社では、加工、加熱、冷却の各システムが相互に連携するように設計されており、低温殺菌のために燃料油を燃焼する必要性がほぼなくなっています。ミシガン州乳業生産者協会(MMPA)では、データと専門家による継続的なサポートにより、乾燥機の性能を長期にわたり維持および向上させるのに役立っています。
プラントごとに課題は異なりますが、共通するアプローチは一つです。それは、大局的な視点に立ち、それを統合的なソリューションへと転換し、生産ニーズの変化に応じて改善を続けていくことです。
GEAがプラントのパフォーマンスを向上させる方法
Think Better
適切な問いを投げかけましょう。プロセスやシステム全体を俯瞰して全体像を把握し、変更によって最大の効果を得られる箇所を特定します。Build Better
全体像を実践に移しましょう。その考え方を、実際の生産現場に合わせて設計された統合ソリューションへと具現化します。Run Better
時間の経過とともに改善しましょう。運用データ、経験、そして継続的なサービスを活用して、パフォーマンスを維持し、変化する要件に適応し、さらなる改善の機会を見出しましょう。Think Better:適切な問いを投げかける
デンマークにあるArla社のAKAFA粉乳工場では、Arla社とGEAは乾燥機だけにとどまらず、プラント全体を視野に入れて検討を行いました。2018年に実施された包括的なエネルギー監査により、ある可能性が明らかになりました。噴霧乾燥機には大量の熱が必要である一方で、プラントの他の部分では冷却が必要とされていました。これら2つの異なるニーズを、同じ解決策の一部として統合できる可能性があったのです。
その後、Arla社とGEAは、GEA AddCool®高温ヒートポンプシステムを稼働中の酪農/乳製品噴霧乾燥機に組み込むことで、世界初の成果を達成しました。これにより、冷却から回収されたエネルギーを昇温させ、有用な熱として再利用できるようになりました。このシステムにより、噴霧乾燥に必要な熱風を生成するための天然ガスの使用量を59%削減することができ、再生可能エネルギーで発電された電力を使用すると、CO₂排出量を年間約1,500トンの削減が可能になります。
Arla Foods社のサプライチェーン持続可能性部門責任者であるライン・ブラント・ペダーセン氏は次のように述べています。「AKAFAプロジェクトから得られた重要な知見は、持続可能性と業績が、財務面を含んで、両立できるということです」このプロジェクトは排出ガス対策から始まりましたが、最終的には3つの側面すべてにおいて効果を発揮する解決策が必要となりました。
Build Better:全体像を実践に移す
アイルランドのAurivo社では、同様のアプローチにより、低温殺菌における燃料油ボイラーがほぼ不要になりました。Aurivo社のキリーゴードン乳製品工場における大規模な改修工事の際、GEAは、より大型の低温殺菌機やその他の液体処理プロセス設備を設置すると同時に、老朽化した冷凍システムの交換も行いました。これにより、システムを相互に連携させて設計する機会が生まれました。
GEAは、冷却中に除去された熱を単に放出するのではなく、ヒートポンプを組み込んでそのエネルギーを回収し、有用な温度にまで上昇させました。その結果、約78℃のお湯を低温殺菌に利用できるようになりました。「私たちは単にヒートポンプや低温殺菌装置を提供しただけでなく、ヒートポンプの用途に合わせて低温殺菌装置を最適化しました」と、GEAのヒートポンプ担当プロダクトマネージャー、ケネス・ホフマンは説明します。現在、重油焚きボイラーの稼働時間は週に約1時間で、これは、各プロセスサイクルを始動させるのに充分な時間です。
また、エンジニアリングチームは、フル稼働中の酪農乳業施設に配慮しながら作業を進める必要があり、綿密な調整が不可欠でした。「私たちが最も懸念していたことのひとつは、稼働停止時間が長引くことによりお客様への納品ができなくなることでした」と、Aurivo社のエンジニアリングマネージャー、スティーブン・カーリン氏は振り返ります。同氏によると、試運転期間中、生乳加工処理能力や品質に支障は生じなかったとのことです。
この大規模なアップグレードにより、キリーゴードンプラントのCO₂排出量は80%削減されました。加工、加熱、冷却の全工程において、エネルギー消費量は約12%削減された一方で、1時間あたりの生乳加工処理能力は80%向上し、年間運用コストの削減額は€347,000を超えました。
たとえ設計の優れたプラントであっても、それだけで最適化された状態を維持できるわけではありません。製品、生産量、動作条件は絶えず変化するため、最適化も継続していかなければなりません。
Run Better:時間の経過とともに改善
ミシガン州オヴィッドにあるMMPAの工場では、オペレーターの入れ替わりが原因で、噴霧乾燥機の性能にばらつきが生じていました。GEA OptiPartnerの高度なプロセス制御は、乾燥機の数学的モデルとリアルタイムの運転データを組み合わせることで、性能が個々のオペレーターに左右される度合いを低減しました。このシステムは、温度や気流などの運転パラメータを自動的に調整し、生産を最適な状態に近づけるために必要な、絶え間ない微調整の多くを処理します。
その結果、プロセス全体で改善が見られました。生産性が向上し、乾燥機の単位エネルギー消費量が6.4%減少しました。2021年にOptiPartnerが導入されて以来、この改善は維持されています。しかし、システム自体は静的なものではありません。レシピの変更、設備の再構成、生産の優先順位の変更に応じて進化することができます。 レシピの変更、設備の再構成、生産の優先順位のシフトに応じて、システムは進化し続けることができます。
GEAは、OptiPartnerを継続的な最適化のためのサブスクリプションサービスであるPerformance Careと組み合わせています。GEAの専任スペシャリストが長期にわたりプラントと連携し、パフォーマンスデータを活用して運転パラメータを最適化し、問題のトラブルシューティングや、さらなる改善機会の特定を行います。GEAのデジタル最適化スペシャリスト、クリスティーナ・ウドは次のように述べています。「私たちの仕事は、実は試運転の後に始まるのです」また、MMPAのエンジニアリングディレクター、ガスパー・カランドリーノ氏にとって、この継続的な関係こそが鍵となります。「私たちにとっての大きな収穫は、システムとプロセスのパフォーマンスに常に関与しているリソースを手に入れたことです」
次のチャンス
これらのプロジェクトは、今日のプラントのパフォーマンスの現状を如実に示しています。工場とは、単なる機械の集合体ではなく、相互に作用し合うプロセスのシステムであり、しかも絶えず変化し続けているものです。5年前に最適化されたプラントでも、現在、若干異なる作業を行っている可能性があります。
また、すべての改善に、大規模な新規設備の導入やアルゴリズムが必要というわけでもありません。プラントの稼働期間を通じて、メンテナンス、設備のアップグレード、改造、あるいは単に数年前に設計されたプロセスを再検討することによって、新たな機会が生まれることがあります。試運転は重要なマイルストーンですが、プラントにとって必要な効率化の決定がそこで終わるわけではありません。
そして、これら3社のすべてのお客様との取り組みは、続いています。Arla社とGEAは、AKAFAの拠点における追加の噴霧乾燥機への段階的な導入を検討しています。Aurivo社では、プロジェクトが構築段階から稼働段階へと移行しており、GEAが継続的なサービス、監視、および最適化を提供しています。また、MMPAでは、噴霧乾燥機における高度なプロセス制御の経験が、次の機会、すなわちこのアプローチを蒸発器へと拡大することへの道筋を示しています。
いずれの場合も、ひとつのステップが次のステップへとつながっていきます。プラントのパフォーマンス向上は、単一の技術や意思決定だけで実現されるものではありません。それは、プロセス全体を結びつけることから生まれるのです。これら3つのプロジェクトを合わせると、Think Better、Build Better、Run Betterがどのように連携しているかがわかります。プラント全体を理解することで、何を構築すべきかが決まり、その運用経験から、次にどこに着目すべきかがわかるのです。
プラントは決して静止していることがないため、それを改善するための取り組みもまた、決して止まることがないのです。
