世界的な水危機の悪化により、この貴重な資源を守ることの必要性がさらに高まっています。酪農産業の牛乳加工プラントでは、水のリサイクルと再利用のために最先端技術を採用し、外部の水源から新鮮な水をくむ必要性を大幅に減らしています。

水保全の先駆者

2015 年度の世界経済フォーラム報告書は、今後 10 年にわたって地球が直面する最大の脅威として、世界の水危機を挙げています。世界で最も生産的な農業地域での干ばつから、何十億もの人々が安全な水を利用できない状況までにわたる水危機は、先進国と途上国の両方の人々に影響を及ぼします。実際、UN-Water (国連水関連機関調整委員会) は、2025 年までに世界人口の 2/3 が水ストレスの状況下で生活し、18 億人が完全な水不足の国または地域で生活することになると示唆しています。

2025 年における世界の水の利用状況

世界の水利用は農業部門が 70%、さらに産業部門が 20% を占めており、家庭内の利用が残りの 10% の需要を構成しています。世界の人口が増すにつれ、農業、産業および都市化が進んだことで、全域にわたる水利用の需要が活発になっています。あらゆる面で節水を心がけるという、差し迫った必要性があることは明らかです。先進国の大部分の人々は、節水を奨励する地方、地域、または国の取り組みを知っています。また、農業や産業のあらゆる部門では、世界の水資源に対する需要を最小限に抑える方法を見つけるために技術革新を必要としています。

世界における今日の水消費量

ウォーターニュートラルの実現 – ゼロウォータープラント

産業界では、産業プロセスや製造において水の必要性を低減し、効率的な水のリサイクルを可能にする技術やプロセスの開発に多額の投資をしています。乳製品加工部門は、ウォーターニュートラルを実現するためにこの事業動機において先駆的な役割を果たしています。牛乳の約 85% が水であると考えると、牛乳に含まれる水を回収し、牛乳加工プラントで、全てではないにしてもほとんどの水需要に対応できる大きな可能性があります。無駄になるものがないため、新鮮な水の需要と廃液の排出の両方が最小限に抑えられます。

主要な世界的食品生産業者の一社では、ゼロウォーター乳製品加工プラントをメキシコに設置し、1 日当たり 160 万リットルの水を節約しています。この生産業者は現在、米国にある別のゼロウォーター牛乳プラントに投資し、年間で 6,300 万ガロンの水を節約できると予想しています。2015 年に同社の工場では、乳製品だけでなく、あらゆる製品カテゴリにおいて、10 年前と比べて製品 1 トン当たりの取水量を 41.2% 削減しました。2020 年に向けた次の目標は、2010 年と比べて 35% の全体的な取水量の削減を達成することです。

水のリサイクルにおける乳製品加工のリーダー

ニュージーランドで、GEA により建設された Fonterra と Yashili 向けの 3 つの粉乳プラントは、牛乳蒸発から回収された水を利用し、処理水と飲用水の両方を供給しています。これらの水回収プラントは、90% の回収率で、1 日に 800 m3 ~ 5,000 m3 の回収水を提供できます。回収プラントは全自動になっており、48 時間の稼働後の洗浄に加え、不定期の管理業務のみを必要とします。

水保全は、Fonterra にとって重要な取り組みです。たとえば、2013 ~ 2014 年の会計年度中、同社の豪州での事業の水利用量は、生産量 1 トンにつき 8% 削減され、ニュージーランドの現場では 1 トンにつき 2% 削減されました。Fonterra のダーナムの現場でも水の効率的利用が行われ、脱脂粉乳と全脂粉乳の生産時に水を再利用できています。

また、ポケノにある Yashili の最新の乳児用粉ミルクプラントでは、外部の水源からの取水を最小限に抑えています。GEA が提供する技術により、同社は、加工している新鮮な牛乳から、プラントの操業に必要な水の大部分を得ています。これにより、環境フットプリントと処分費用を低く抑えています。

ろ過システムにおける世界的リーダー

数十年に及ぶ乳製品加工部門の業界や技術に関する専門知識を持つ GEA は、牛乳加工の蒸発段階から凝縮体を回収してリサイクルするためのろ過システムの提供における世界的リーダー企業です。洗浄に利用できる水のリサイクル技術と、産業プロセスにおける製品との接触のない作業に関する技術は、GEA にとって比較的単純なものです。GEA では、Fonterra と協力して粉乳プラントの設計、装備、および建設を行っています。「カウウォーター」として知られている凝縮体は、蒸発プラントから収集され、膜を使って凝縮体から汚染物質や不要な溶解物質をろ過して取り除くための高圧逆浸透膜プラントを通じて精製されます。GEA は世界中に 100 か所以上の逆浸透膜プラントを設置しています。

リサイクル水を製品自体で利用する場合は、リサイクル処理に追加の手順が必要になります。炭素処理は、不要なにおいを取り除くために行われ、UV および二酸化塩素処理が、汚染物質を取り除くために用いられます。その後、水にミネラルが添加され、プラントのシステムに対する悪影響を少なくします。この複雑な全体的プロセスには、追加の水処理段階を効率的に組み込むことができる、適切なプラント設計が必要になります。

これらの技術を用いて処理されたリサイクル水は、飲用水に関する WHO の規格を満たすように精製できます。このリサイクル水は、最終的な洗い流し、タンクや配管の洗浄などに加え、最終製品の成分としても、乳製品プラントでさまざまな処理に利用できます。GEA の技術には、回収された水の処理に関する衛生要件を満たすタンクや配管が含まれているため、これらは製品と接触しても問題ないほど清潔です。

産業プロセスから回収された水を精製するために最先端の技術とシステムを利用する場合でも、常にすべてのリサイクル水を費用対効果または能率が良い方法で、加工での利用を許可する規格に従って精製できるとは限りません。それでも、この水には、庭への水やり、水洗トイレでの利用などの何らかの利用法があるでしょう。リサイクル水を再利用すれば、それだけ水道事業者の供給の負担を軽減することになります。

牛乳加工用だけでなく

全く新しい乳製品プラントを建設して、加工する牛乳から必要なすべての水を抽出し、外部の水源からの取水量を減らすことができる節水およびリサイクル技術を組み込むことは、技術および工学的観点から考えて、実現可能です。これらの技術は、利用可能な水源およびプラント内での再利用の可能性に関する徹底的な調査を行った後、既存のプラントにも展開できます。水の再利用への取り組みは、乳製品部門において非常にうまく適用されています。さらに、処理に大量の水を必要とする食品産業の他の部門にも、同じ技術を適用できると考えて問題ないでしょう。

「水資源が不足しつつあるため、酪農産業は水保全への取り組みの最前線に立っています」と、GEA の膜ろ過関連製品部長である Swami Sundaram 氏は述べています。「エバポレータ凝縮体から水を回収して再利用するための最初の膜プラントが設置された 1990 年代の初期から、その技術は、すべての新規設置において一般的な機能になっています。このことはまた、米国西部などの水ストレスのある地域においても、大規模な生産施設の設置を促進しました。」

UN-Water は、過去 1 世紀にわたり、世界の水利用が人口増加率の 2 倍の割合で増えていると主張しています。この貴重な資源の保全は必要不可欠であり、これまで以上に深刻な問題になっています。GEA は、産業プロセスにおけるゼロウォータープラント向けの堅牢かつ効率的で環境に優しい技術、ソリューションおよびシステムの開発におけるパイオニアとして、プロセスおよびエンジニアリングに関する専門知識を提供できることを誇りに思っています。

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