ミルク、チーズ、ヨーグルトなど、牛、羊、ヤギ、バッファローの乳から作られる乳製品は、バランスの取れた健康的な食生活の重要な部分を占めています。乳製品は、タンパク質、カルシウム、ビタミンが豊富であり、これらは体の成長と丈夫な体の維持に必要な栄養素です。ミルクベースの飲食物は単体でも十分味がよく、乳製品原料は、マカロニ&チーズからアイスクリームまで、おいしい料理やスイーツのレシピの多くに見られます。さらに、乳製品ベースの栄養調整乳は乳児にとって重要な栄養源であり、粉末と液体のサプリメントは、特別食を必要とするあらゆる年齢のアスリートや個人にとって便利な栄養剤です。

のどを潤してくれる冷たいミルク1杯や人気のヨーグルト1個があれば、ためらいなく手に取る人がほとんどです。しかしながら、乳製品を消費すると、腹部膨満、吐き気、ガス、下痢など、不快な腹部症状に見舞われる人もいます。その理由は、彼らが、ミルクに含まれる主要糖質であるラクトースを消化できないためです。

食生ピラミッド
食生活を健康なものにするために多種多様な食品を含める

ラクトースの欠乏

ラクトースはミルクの乾燥組成物の約3分の1を形成しますが、消化器官に直接吸収されません。炭水化物は二糖類で、つまり二成分糖、グルコース、ガラクトースで構成されているということです。小腸で生成される消化酵素であるラクターゼには、食品中のラクトースをグルコースとガラクトースにラクトースを分解する働きがあり、ガラクトースとラクトースはその後に腸で吸収されます。ラクターゼが十分に生成されないため消費したラクトースを完全には分解できない人の場合、ラクトースを含む乳製品を摂取すると不快な腹部症状に見舞われるおそれがあります。

成人の乳糖(ラクトース)不耐症の原因は多くの場合、幼年期後、主要食物源としてミルクに頼ることが少なくなると、ラクターゼの生成が自然に減り始めることです。時には傷害や疾病によって、小腸からのラクターゼの生成が一時的に停止することもあります。ごく稀なケースですが、ラクターゼ遺伝子に欠陥がある状態で生まれたために、ラクターゼが全く生成されず、出生時からラクターゼを含まない栄養調整乳を必要とする新生児もいます。

牛乳のたんぱく質に対する免疫反応であるミルクアレルギーと乳糖不耐症は異なることを理解しておくことが重要です。乳糖不耐症の症状によりひどい不快感が生じますが、この症状は危険なものではありません。ある程度の乳糖不耐症を抱えている人はたくさんいますが、彼らの体内では少量のラクターゼが生成されるため、一定限度の量の乳製品を継続して摂取できます。それでもなお、乳糖不耐症を抱える人は乳製品の摂取を完全に避けた方が無難ですが、それは重要な栄養源を摂取する機会を失うことになることを意味します。

世界中の人々の約3分の2が幼年期後にラクトース消化能力を失うと推定されています1。乳糖不耐症は民族性に関係する傾向があり、伝統的にあまり乳製品を消費しない民族において最も多く発症しています。言い換えれば、乳糖不耐症は、乳製品を比較的多く摂取する食生活1を送っている人々にとってはあまり一般的ではありません。アメリカの国立衛生研究所(図1)によると、北ヨーロッパでは乳糖不耐症を抱えている人はわずか5%程度ですが、例えば一部の東アジア地域では成人の90%以上が乳糖不耐症の影響を受けている可能性があります。

ラクトース不使用乳製品を天然の材料で作る

乳製品業界では現在、さまざまなラクトース不使用ミルク、乳製品ベースの栄養パウダー、ヨーグルト、バター、クリーム、アイスクリームなどが製造されており、あらゆる年齢の人々が、一定程度の乳糖不耐症を抱えていても自由に乳製品を消費でき、重要な栄養食品グループを利用できます。乳製品市場は拡大する多様なグローバル市場となっており、業界解説者は、2027年末までに178億米ドルに相当する市場になると予想しています2

では、製造者は人気の乳製品のラクトース不使用版をどのようにして製造するのでしょうか。最も簡単な方法は、酵素であるラクターゼをミルクに追加する方法で、ラクトースがグルコースとガラクトースに分解された状態のミルクを人々が飲んだり食べたりすることになります。ただし、ミルクに含まれるすべてのラクトースを放置してただラクターゼを追加すると、ガラクトース成分とグルコース成分がラクトース自体よりも甘くなるので、製品の味が甘くなります。フレーバーの調整は、低ラクトースまたはラクトース不使用のミルクや乳製品の製造者の主な課題の1つです。

現在の最新式の工場では、ラクターゼを追加する前にミルクからラクトースの一部を取り除いています。これによって、ラクトース含有製品の甘味をより強く反映させた甘味が最終製品に加わります。消費者は、ラクトース不使用のミルクや乳製品の味と、ラクトース含有ミルクで作られた製品の味の見分けがつかないかもしれません。

製造工程では、ミルクを脱脂して殺菌した後、ろ過プラントを通過させてラクトースをある程度除去します。ろ過方法については、精密ろ過、ナノろ過、限外ろ過、逆浸透など、さまざまなろ過法を使用できます。GEA には乳加工を専門とするスペシャリストがおり、世界中の牛乳生産会社と乳製品製造者と協力して、信頼性の高い分離・ろ過システムを構成しています。当社のソリューションは、飲料用ミルク、ヨーグルト、乳製品の原料などの製品に使用される乳成分が効率的に分別されるように調整できます。

ラクトース不使用製品の生産

ラクトース不使用製品のスマートなソリューション

当社は、低ラクトースまたはラクトース不使用のミルクや乳製品の製造向けとしてさまざまな加工設備を開発しました。当社のポートフォリオには、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、逆浸透など多用途のシステムが含まれています。これらは非常によく使用されているラクトース除去プロセス向けろ過システムです。液体ミルクをろ過膜に通すと、ラクトースは採取されますが、タンパク質と他の成分の大半は通過します。

ただし、ろ過プロセスと分離プロセスではカルシウムの一部も採取されます。製造業者にとってのもう一つの大きな課題は、最終製品に含まれるカルシウムのバランスを、全乳に含まれるカルシウムのバランスに可能な限り近づけることであり、GEA は業界と提携して、ラクトース不使用のミルクベース食品に含まれるカルシウムとミネラルのバランスへの影響を最小限に抑えるプロセスの開発に取り組んでいます。

さらに、保存期限が長い(ESL)ラクトース不使用ミルクを生産するためのテクノロジーも設計して実装しています。このミルクは、冷蔵環境下で最長40日間保管でき、UHTミルクは冷蔵することなく保管できます。ラクトース不使用乳製品がめったに利用されない地域や、冷蔵輸送・保管に問題がある地域では、これらの製品が乳幼児、子供、成人にとっての生命線と言えるかもしれません。

最新の加工技術とソリューションの開発は、特別な食生活のニーズを抱える世界中の人々に向けて、業界が高品質で栄養価の高い酪農食品を製造するのに役立っています。GEA は、当社の部品、設備、プロセスが、現世代と次世代の製造の効率性と持続性の実現に役立つように、技術革新の第一線にとどまろうと努力を重ねています。

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