ホップの力が最大限に引き出されていますか?

17 Dec 2018

ホップの力が最大限に引き出されていますか?

ビールの醸造で問題になるのは、高額なエネルギーコストや水ではなく、ホップです。アルファ酸は、ホップから抽出されるものでビールの苦みに不可欠な要素ですが、年間の供給安定性の低さを考えると、醸造業者は採算性を維持するために、醸造所とコールドブロックでのホップ製品の使用方法の効率化などを含め、これまでの醸造プロセスを再検討する必要があります。

なぜそんなにビター(過酷)なのか?

気候の変動。サプライチェーンにおける激しい変動。貯蔵。さまざまなホップアロマや風味と変わり続ける味に対する消費者の需要(これこそがホップのニーズが予測しづらくなる要因であり、先渡契約が例外的なことではなく当たり前であることが多い業界では特にその傾向が強い)。これらは、醸造業者(特に、不均衡な配分のホップを消費するクラフトビール醸造所と小規模醸造所)の悩みの種のほんの一部です。そして供給と価格に関する問題は多くの場合、従来の醸造プロセスの効率の悪さにより悪化します。従来のプロセスはエネルギーを大量に消費するものであり、ホップ資源の活用が不十分です。これは醸造業者にとってまさに金をどぶに捨てるようなものです。 

アルファ酸は化合物の一群で、ホップの花の樹脂腺にあります。組み合わせた処理とプロセスなどを通じて異性化するとイソアルファ酸になります。これらのプロセスには溶液中での加熱が含まれますが、これは通常、煮沸した麦汁(ビールの醸造中に糖化プとセスから抽出された液体)にホップを添加して行います。アルファ酸は麦汁に溶けにくいのですが、異性化してイソアルファ酸になると非常に溶けやすくなります。異性化の度合いと生成される苦み物質の量は、ホップが煮沸される時間の長さに大きく依存します。煮沸時間が長いほど、異性化されるアルファ酸の量が多くなって苦みが増します。しかし、従来の麦汁沸騰プロセスでは完璧な異性化は無理です。実際、添加したホップの約3分の2または60%が使用されず、その結果、煮沸時間の短縮化、水溶液中のアルファ酸の疎水構造を原因とする損失、トラブと酵母の損失が発生します。

醸造所における異性化率の増加

ホップは伝統的に麦汁煮沸釜の中に投入されてきましたが、HOPSTAR™ Iso ついては、GEA はホップの異性化を熱で加速させることで異性化率を上げるプロセスを開発し、特許を取得しました。このプロセスは、温度が10ケルビン上昇するごとに反応速度が倍増するという原則に基づいて機能します。加えて、反応力が強化された表面を形成するために、ホップ製品の粒子サイズを縮小します。プロセス温度を120~140℃まで上昇させた場合、麦汁沸騰時の100℃と比較すると、プロセス時間が加速し、わずか15~20分程度で異性化率が92%以上に到達します。これにより従来の方法の約30%が改善され、醸造所が負担する年間のホップ費用が15~30%まで削減されます。

醸造所の皆様は HOPSTAR™ Iso をご利用いただくと次のような利点が得られます。

  • 異性化量の増加により原材料需要が低下する 
  • 熱応力の低下により、風味の安定性が向上する  
  • ホップの風味(香りと味)が豊かになる
  • 後味がまろやかで渋みを感じるほどの苦みが残らない 
  • 総蒸発率の低下によりエネルギーを節約できる 
  • 安定したホップ懸濁液の使用時に柔軟性を確保できる 
  • 提携醸造所向けの中央集中型ホップ生産
コールドブロックにおける資源効率的で動的なドライホッピング

ドライホッピングとはホップアロマをビールに添加するプロセスで、通常は二次ステップに含まれます。これはペールエールやその他のビールタイプによく利用されるステップで、麦汁沸騰中にホップオイルの大半が蒸発することを考慮しています。従来のドライホッピングでは、ホップのコーンやペレットが貯蔵タンクに入れられます。この静的なプロセスでは、ビールとホップ粒の接触が減り、ホップペレットの分解が制限されるため、抽出効率が阻害されます。また、従来のドライホッピングプロセスでは固形分離が不十分になることがあります。その原因は、例えば、プロセスの後の方で使用される多くの遠心分離機に、大量の固形物が入って処理しきれなくなることなどです。プロセスの最後に行われるホップの除去は、醸造業者にとって難題で、ビール損失率が高くなる(報告では10~20%。ホップ投入量により異なる)原因がこれです。 

HOPSTAR™ Dry について、GEA は実験で証明されているプロセスを開発し、ますます増加する工業用途に対応できるようになり、抽出効率が従来の静的プロセスと比較すると30~50%と大幅に改善されました。鍵となるのは、抽出容器内での動的抽出の利用です。容器内のペレットホップは、低せん断かくはん装置により停止し、ポンプにより動きます。沈殿工程で固形物が分離され、粒子は抽出容器の中に留まります。円筒円錐タンク(CCT)外で沈殿しないように、目の細かい追加フィルターでさらに細かい粒子を取り除きます。抽出と沈殿については、接触時間と抽出ホップオイル片に関して醸造業者がしっかりと管理することを前提として、可変サイクルで実行されます。抽出効率が向上するということは、ホップとビールの損失が<3%まで低下するというコスト削減を意味します。

醸造業者は、スキッドを搭載した GEA HOPSTAR™ Dry を使えば、さらに次のいくつかの主要機能と利点を得ることができます。

  • CCT に移送される固形物の量を最小限に抑えられるので、CCT 内のペレット固形スラッジによるビール損失がなくなる。 
  • 配管済み、配線済み、試験済みの状態のユニットとして納入される。 
  • 抽出タンクの設計に CCT の容量と最大ペレット積載量が考慮されている。 
  • すべての周辺機器がそろった状態で、スキッドの横に個別に抽出タンクが取り付けられている 
  • あらかじめ配管されているスキッドには標準的な設計が施されており、抽出装置だけが導入されている。 
  • GEA HOPSTAR™ ドライシステム1台で複数の貯蔵タンクに対応できる
  • プロセス条件(例:ペレットの浸漬または停止、抽出サイクル数)を個別に調整して、ペレットの品質やホップの多様性を反映させることができる
  • 自動化により再現可能な製品品質を実現できる 
  • CO2大気におけるプロセスで酸化を回避できる  
  • 独立型ユニットとして、または既存の設備に統合される自動化 
  • 全プロセスステップの自動化および CIP が最高の品質・衛生基準を満たしている
GEA Hopstar Dry
ホップの力が最大限に引き出されていますか?

ご存じですか ?

ホップは歴史的に、ビールや苦みのあるその他の飲料におけるその防腐力と風味性能だけでなく、薬理上の特徴においても価値が認められていました。現在、自然製品と食品に対する需要が高まっており、ホップ抽出物は徐々にハーブティー、ソフトドリンク、治療薬、美容製品(シャンプー、デオドラント、化粧品など)に使用されるようになってきています。

緊張、頭痛、筋肉痛、不眠症、さらには潰瘍、消化異常を抱えている人々は、症状の緩和のためにホップ抽出物に関心を寄せています。ホップは、ふけ、脱毛、その他の頭皮障害に対するその有効性から、シャンプー分野で支持されています。ホップ中の油分とミネラルには、皮膚と減少する頭皮表面の血管に有効であるといわれている消炎作用があるのです。春先には、ホップの葉と新芽(つる)をサラダにしたり調理したりして食べることができます。

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