Penn Pharma 社: 完全統合型の封じ込め打錠設備

Penn Pharma Integrated Contained Tableting

Penn Pharma: New fully Integrated Contained Tableting manufacturing facility in Tredegar, Gwent UK

Penn Pharma 社は広範な市場調査を実施した結果、腫瘍用固体製剤の市場における強毒性薬剤の外部委託の開発及び生産に対するニーズの高まりを認識しました。この生産拠点では強力な固体製剤製品を 20 年以上にわたって生産していましたが、さらなる生産能力の強化が必要でした。

正真正銘の封じ込め生産

Penn Pharma 社 (ウェールズ、トレデガル) は英国で最も歴史ある製薬会社の 1 つです。設立は今から 30 年前で、総合薬品開発、臨床試験向けの供給、及び生産サービスを世界のヘルスケア産業に提供しています。単一の拠点で操業し、約 280 名の従業員を抱える、この会社は、広範な市場調査を実施した結果、腫瘍用固体製剤の市場における高品質な、強毒性薬剤の外部委託の開発及び生産に対するニーズの高まりを認識しました。このような市場ニーズに対応するために、拠点の生産能力を高めるプロジェクトへの投資を開始しました。その目的は、新たに複数の API (active pharmaceutical ingredient: 医薬品活性成分) の設備を構築し、そこで ISPE ガイドラインに従った完全な封じ込めを実施して、1~120 kg のバッチを生産できるようにするというものでした。

幾何学的に拡張可能な調剤、造粒、及びブレンドの工程が標準的な範囲ですが、この工程で、コーティング錠または単一/組み合わせの API 硬ゼラチンカプセルを生産可能です。QbD (quality by design: クオリティバイデザイン) の手法を使用し、拡張プロジェクトの目的はリーン生産の中心となるものに焦点を絞りました。それは、安全、品質、出荷、コスト、そして何よりも人です。

課題

この生産拠点では強力な固体製剤製品を 20 年以上にわたって生産していましたが、さらなる生産能力の強化が必要でした。技術革新と投資によって、優れた固体製剤技術を提供し、動きにくい防護服が不要になります。この防護服を着ると、開発は制限され、オペレータは快適に作業できなくなります。この技術革新と投資の両方がなければ、Penn Pharma 社は国際的な製薬会社に要求される生産レベルを達成できず、ビジネスの成長ペースもグローバルな外部委託市場と同程度にしかならなかったことでしょう。今回の調査で明らかになった機会を利用するために、Penn Pharma 社は、まったく新しいコンセプトのプラント設計が必要でした。それは、研究開発からの最先端の手法、最新の技術、オペレーションのアップスケール機能を、(パイロット規模の試験を経て、フル生産に至るまで、すべてを一か所に集約し) 設計に組み込むというものでした。

Penn Pharma 社での封じ込め

Penn Pharma 社の高封じ込め施設

プロジェクト

Penn Pharma 社は、30 年使用した自社の設備を 2012 年に市場で最先端を行く封じ込め拠点へと転換することを決断し、以下の技術的な決定要因に基づいて、当社を技術的なパートナーとして選びました。

  • 統合の責任を保証する完全なソリューションプロバイダ
  • パーツ及びサービスに関する、地域的な、英国での迅速なサポート
  • 要件を満たす封じ込めソリューション
  • すべての課題に対応する技術的なソリューション
  • 同様のプロジェクトの経験
  • すべてが最良のソリューション

プラント開発の予定表を表 I に示します。これは、cGMP 生産の最高基準であり、研究開発、パイロット規模、粉末からカプセルまでのフル生産の設備に提供し、防護服を着用する必要性を排除し、それにより、オペレータと工程が解放され、生産力の向上が可能になります。国際的な医薬品業界の顧客が、最新の技術と安全な作業手順を持つメーカを採用することによって、サプライチェーン全体を通してすべての注意義務を実践していたという自信が得られます。

製剤顧客 Penn Pharma 社による統合造粒

Penn Pharma 社での完全封じ込め造粒スイート

当社とのパートナーシップ

Penn Pharma 社が当社との提携を選んだのは、封じ込め技術での実績と、完全統合型の生産ラインを構築する工程の専門知識を当社が持ち合わせていたからです。当社は Penn Pharma 社と最初から協同して初期のコンセプトを開発し、必要な技術を選択しました。さらに、エンジニアリングコンサルタントと協同して、プラントが封じ込めに最適な設計になるよう徹底しました。

例えば、小規模及び大規模の工程フローは完全にマッピングされ、人と物質の移動のすべての側面をカバーしていました。その後、最終のクリーンルームレイアウトの位置が固定されました。技術的領域のすべてのユーティリティとサービスが、メンテナンスを容易にする 3 層のサンドイッチコンセプトを使用して設計されています。HEPA のろ過及び集塵システムは、「安全に交換できる」よう設計されています。機械装置の設計は、価値のストリームマップで始まり、工程ステップ間での移動の数を最小限に抑えました (小規模と大規模の両方の工程ストリームが十分な柔軟性を備えている)。すべての封じ込めバルブが 150 mm のオリフィスに標準化され、IBC (intermediate bulk container: 中間バルクコンテナ) には幾何学的なスケールアップ能力 (1 ~ 120 kg).があります。使い捨ての Hicoflex® Bag オプションを利用して、コストと、クリーニング検証に関連する遅延が発生しないようにします。

当社の手法は、封じ込めの専門知識を活用して防護服の使用を排除し、封じ込めインタフェース (BUCK® MC の高度な封じ込めバルブと Hicoflex®) を選択するというものでした。このインタフェースは、当社の高度な造粒、封じ込め、及び圧縮技術を使用しているだけでなく、粉末調剤アイソレータなどのサードパーティ製の機械装置を使用したり、さらに下流では、カプセル充填や錠剤コーティングの各要素を使用するものもあります。これにより、完全に封じ込めた、粉末からカプセルまでの設備を、オープンな作業環境に構築できます。安全面から言うと、各種の機械装置は最大限の封じ込め性能を確保するために、室内に負圧が生じている状態でも運転できるよう設計されたものです。つまり、すべての洗浄工程は自動化され、相互汚染を防ぐよう検証済みであり、すべての機械装置が個別に SMEPAC (Standardized Measurement Equipment Particulate Airborne Concentration) の試験に合格しています。

Buck バルブの封じ込めウェブ

Fully Contained Granulation Suite at Penn Pharmaceuticals

供給範囲

新しいプラントは、「スルーザウォール」方式で設置した、欧州初の商業的 PharmaConnect® を誇ります。これにより、医薬品製剤の研究者は幅広い処理技術を使用して手法を評価し、開発スケールの造粒及び乾燥時に製品品質を最適化できます。この革新的な技術に Buck® MC スプリットバタフライバルブの封じ込めインタフェースと使い捨ての Hicoflex® カップリングを付加することにより、ハイレベルの cGMP 生産が実現するとともに、強力な活性成分を IBC 間や製造装置間で安全に移送できるようになります。湿式造粒に対応する封じ込め研究開発ライン (PharmaConnect® システムを搭載) には、添加剤及び強力な粉末の調剤、PMA™ による造粒及び FlexStream™ による流動床加工、乾式製粉、粒子の収集とブレンド、オフライン洗浄 ECM (Exchangeable Compression Module: 交換可能圧縮モジュール) を搭載する MODUL™ P 打錠機を使用した錠剤圧縮、ペレットコーティングも含まれます。生産ラインでは、当社の PMA™ 150 と FlexStream™ 1000 を使用して造粒と乾燥を行っています。

さらに、プラントには、直接打錠用の封じ込め研究開発ライン、粉末、API、添加剤の分配、乾式製粉、粉末の収集とブレンドの封じ込めインタフェースを提供する別々の生産ラインも配備してあります。MODUL™ P 打錠機を除くすべての装置は定置洗浄できます。MODUL™ P 打錠機には、製品に接触するすべての機器を封じ込めるオフライン洗浄 ECM を搭載しており、取り外しと交換が 30 分以内で可能で、製品切り換え時にも高い生産性を維持できます。

製剤顧客 Penn PharmaConnect

図 2: PharmaConnect® の「スルーザウォール」方式

具体的な結果

この新しい設備によって、Penn Pharma 社は、世界最先端の最も効率的なプラントの 1 つで強毒性薬剤の開発及び生産を行う唯一の供給元へと転換しました。このプロジェクトによって、プラントの生産能力が大幅に向上し、現在は、標準の 2 交替制運用で約 500 の追加バッチを生産できるようになりました。生産設備全体が最大限の封じ込めを実現する設計になっており、オペレータは防護服を着用しなくても安全な作業環境を確保できます。これにより、オペレータ及び幅広い環境を保護する主要な手段として封じ込めエンジニアリングを提供するという、医薬品産業及び安全衛生組織の需要が満たされます。また、世界各地に広がる Penn Pharma 社の顧客は生産オペレーションによる環境への影響を綿密に管理できるという自信を深め、ますます厳しくなっている企業倫理上の責任を維持できるようになります。

液体積層 Web

figure 2: PharmaConnect® “through the wall” system

実際の利点

新しいプラントでは、生産性と柔軟性が向上し、オペレータの優れた作業環境が提供されました。たった 1 社の技術的パートナーと連携することによって、迅速かつ効果的なコミュニケーションを確保し、コスト効率に優れた管理しやすいプロジェクトを実現することができました。Penn Pharma 社にはインタフェースのセキュリティからの利点があります。エンジニアリングコントラクタにインタフェースの管理費用を支払う必要がなく、当社の契約条件及び保留範囲に従い、1 通貨で 1 契約となります。当初から Penn Pharma 社は当社と連携し、厳しい時間軸にも関わらず予算通りに最終結果を達成しました。つまり、当社が Penn Pharma 社からの最初の注文を受領してから 1 年以内に、コーティング錠の最初の製品バッチが出荷されました。全 FAT、IQ、OQ の工程が共同管理され、PQ 及び生産に入る前に適切なレベルの検証を行うことが可能になりました。

同様に、構築やユーティリティの選択に関して、当社は HVAC 及び純水ユニットからモジュラー式クリーンルームに至るまで、市販のシステムの安全を確保できるよう支援し、必要なリードタイムと効果的な予算管理を保証しました。すべての工程が専門的に実行され、装置をさまざまな国から調達する必要があったにもかかわらず、すべての品目がそれぞれのクリーンルームに時間どおりに設置されました。これで、プラントは、一か所に集約した研究開発、パイロット生産、フル生産の設備のほか、製品レベル間でのシームレスな移行とスケールアップを提供します。また、すべてのインタフェースが SMEPAC 要件に従った厳しい封じ込めテストを受けているため、当社は Penn Pharma 社の要件に従い、その封じ込め技術に関する専門知識を活用して安全を確保し、プラントの生産力を高めました。

Penn Pharma 社の代表が次のように述べています。「外部委託市場での顧客にとって革新的かつ独創的な設備ができたと確信しております。この強力な固体製剤を扱う設備は、正真正銘の CMO (contained manufacturing operation: 封じ込め生産オペレーション) であり、本質的に最先端のエンジニアリングを備えています。また、市場投入への期間を短縮する柔軟性があるだけでなく、さらに重要なことですが、最高レベルの洗浄、オペレータの安全、環境に配慮した排水規制が確保されます」

有効産物の処理
再確認: プロジェクトの目的

安全性: この設備は、8 時間の TWA (time weighted average: 時間荷重平均) に基づき、OEL (occupational exposure limit: 職業暴露限界) が 0.01 µm/m3 までの複数の API を取り扱うことができるよう設計されています。このアプローチは、ある意味で型破りなものでした。というのも、負圧装置の原理で開始し、日常のオペレーションで PPE (personal protection equipment: 個人保護具) を使用する必要がなくなるというものでした。

品質: この新しい封じ込め生産オペレーションでは、この拠点がサポートするグローバル市場 (米国、日本、南米、欧州など) の規制ニーズを満たす必要がありました。

出荷: この設備は、開発、早期フェーズ、及び商業的供給を通じて顧客をサポートできるよう柔軟に設計され、効率化を加速し、1 年で駐車場を操業設備に転換することを目標としました。

コスト: 品質と安全性を犠牲にしません。重要なのは、機械装置の調達を成功させることでした。信頼性の高い FMEA 選択工程と商業入札の分析が実行され、最先端の装置を競争市場価格で獲得できました。

人: 初期のチームは 5 人のプロジェクトメンバーから構成され、外部のプロジェクト設計構築チームのサポートを得て、焦点とするのは市場への投入速度でした。十分な薬品生成、品質、評価、エンジニアリング、規則と運用のスキル、予算管理を装備して、独自の、市場をリードする設備を構築するための準備がすべて整いました。

製剤顧客 Penn Pharma 社による使い捨て封じ込め

Hicoflex™ 使い捨て封じ込め

Facilities of the Future Enhanced with GEA Technology

Penn Pharmaceutical Services Limited の Penn Dragon 封じ込め生産設備プロジェクトが FOYA Facility Integration を受賞

FOYA Facility Integration を受賞

Penn Pharma 社は広範な市場調査を実施した結果、腫瘍用固体製剤の市場における強毒性薬剤の外部委託の開発及び生産に対するニーズの高まりを認識しました。Penn Pharma 社が当社との提携を選んだのは、高度な封じ込め技術での実績と、完全統合型の生産ラインを構築する専門知識を当社が持ち合わせていたからです。
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