グローバルベンチマークになっている GEA ヒートポンプを利用したロンドン地域暖房(加熱)プロジェクト

バンヒル 2 エネルギーセンターが GEA ヒートポンプ技術を利用してロンドンの住宅を暖房

このアイデアは独自のものであると同時に独創的であり、世界的模範になる可能性があり、ロンドン中心部で立ち上げられたバンヒル熱電(加熱電力)ネットワーク(BHPN)プロジェクトに反映されています。ロンドン地下ネットワークからの廃熱を利用することによって、今ではイズリントンの 1,350 の住宅、学校、2つのレジャーセンターが暖房されるとともに、温水供給が行われています。このプロジェクトで求められる特性と専門性のため、元請業者(主要請負業者) Colloide Engineering Systems は、主要なコンサルティングエンジニア、サプライヤー、下請業者と提携して、このプロジェクトを遂行できる能力の高いチームを形成しました。世界的技術スペシャリスト GEA はこのチームの一員として、このフラッグシッププロジェクトに専用ヒートポンプソリューションを供給しました。GEA、Colloide、および関係者全員は、2030 年までに CO2 による中性化を実現することを目指して、炭素排出量を削減するイズリントンにおける取り組みを支援しています。

イズリントン評議会とその2030 年に向けたネットゼロカーボン目標

イズリントン評議会は長年にわたって炭素排出量の削減に全力で取り組んでおり、気候の緊急事態を宣言しています。該当する宣言では、2030 年までにネットゼロカーボン目標に全力で取り組むこと、つまり CO2 による中性化の実現に取り組むことを公約しています。イズリントンでは、この ゴールをイズリントン市民のために達成すべく、市民に安価で環境に優しいエネルギーを提供するための対策を講じています。

これらの対策の一つは、世界で今までに類を見ない革命的なバンヒル 2 エネルギーセンターです。これはロンドン地下の特定ケースであり、公共施設からの廃熱を利用するための実際の青写真を意味します。イズリントンの住宅、学校、レジャーセンターに暖房(加熱)と温水を供給することでエネルギーが節約され、炭素排出量が削減されるとともに、大気質が改善され、この事業計画により、燃料不足に悩まされているイズリントン住民の暖房費(加熱費用)が削減されます。

バンヒル 2 エネルギーセンター - 外観(写真:イズリントン評議会)

バンヒル 2 エネルギーセンター - 外観(写真:イズリントン評議会)

この新しいエネルギーセンターでは、ほぼ 100 年にわたって閉鎖されたロンドン地下鉄駅の現場で最先端技術が利用されています。かつては「シティロード」として知られた地下鉄駅の残骸は、下部のトンネルから暖かい空気を引き出す地下の巨大な空気抽出システムに変換されました。これらのトンネルはロンドン地下鉄北線によって使用されています。

GEA ヒートポンプソリューション

GEA はイズリントン評議会、ロンドン交通局(TfL)、および元請業者(主要請負業者) Colloide Engineering System と緊密な協力関係のもとで、1000 kW アンモニアヒートポンプを街路レベルのコンテナ内に設置しました。

「Colloide は、経済的、社会的、環境的成功を達成する方法を絶えず模索しており、その価値観がそれぞれのプロジェクトに完全に実装されることを保証するため、Colloide にはそのすべての下請け業者およびサプライヤーの持続可能性ポリシーを評価する事前資格審査システムが整っています。GEA とそのアンモニアヒートポンプは確実にその基準を満たしています」– Colloide Engineering Systems 最高業務執行責任者 Paddy McGuinness(パディ・マクギネス)

– Colloide Engineering Systems 最高業務執行責任者 Paddy McGuinness(パディ・マクギネス)

このヒートポンプは地下トンネルからの暖かい排気エネルギーを抽出します。ヒートポンプによって少し冷たい空気が周囲に放出され、エネルギーが水を加熱するために使用され、加熱された水は 1.5 km の地域暖房(加熱)パイプネットワークを介して近隣の建物に送り出されて最終的に建物の暖房に使用されます。

このシステムのために GEA が開発、製造したヒートポンプは、エバポレータ/セパレーターの組み合わせ、3 台のコンプレッサ、および加熱回路内に配置されている 4 つの熱交換器で構成されています。これらの熱交換器は、55℃ における温水戻り、および 80℃ までの温水供給に基づく基準に従って加熱回路を最適化します。

ロンドンのイズリントンに設置された GEA ヒートポンプ

バンヒル 2 エネルギーセンターに設置された GEA ヒートポンプシステム

GEA 冷凍技術におけるヒートポンプ製品部長 Kenneth Hoffmann(ケネス・ホフマン)によれば、このプロジェクト中のシステム設計には多くの課題がありました。これらの課題には、循環空気に吸引された粉塵や ごみが熱交換器コイルの目詰まりを起こさないことを保証するための広範なテストが含まれていました。ケネス・ホフマンは以下のように説明します:「バンヒルの地域暖房(加熱)ネットワークはヒートポンプから最大 80℃ の温水を必要としました。当社は[ピストン]としても知られている 2 段式レシプロコンプレッサを使用して、動作係数 (COP) またはヒートポンプ効率 3.5 以上を達成しました。このプロジェクトは居住用建物の隣に位置していたことから、設置には工場室からの循環空気をろ過するスクラバ技術も含まれていました。その狙いは、少量の自然冷媒アンモニアが工場室に万一漏れた場合にも、アンモニアが周囲に放出される前にスクラバに吸収されて、地元住民が空気中のアンモニアに暴露されることがないようにすることです」

パディ・マクギネスは、このソリューションが選ばれた理由を次のように説明しています:「Colloide は多くの再生可能エネルギープロジェクトに関与してきました。Colloide はこのプロジェクトで、アンモニア冷凍とヒートポンプ技術に関する知識を豊富に持つ GEA と提携しました。GEA の経験に基づくと、この 10 年間に設置された工業用冷凍設備の 95% はアンモニアベースの冷凍システムでした。エンドユーザーに対する光熱費への削減圧力が増加するにつれて、アンモニアヒートポンプへの関心も大幅に増加しました」

「特に大都市では、窒素酸化物(NOx)を排出しないヒートポンプの利用は、ガスボイラを使用するよりもはるかに環境に優しいアプローチです。よって、ヒートポンプは都市の空気をきれいに保ち、経済的なメリットもあります。さらに、アンモニアは地球温暖化に寄与しない自然冷媒です」とケネス・ホフマンは述べています。

感動的な結果

バンヒル 2 エネルギーセンターは、2012 年にイズリントン評議会によって立ち上げられた既存のバンヒル熱電(加熱電力)地域暖房(加熱)ネットワークに 550 戸の住宅と小学校をさらに追加しています。このネットワークはすでに 2つの地元レジャーセンターと 800 戸を超える住宅に対し、より安価で環境に優しい暖房(加熱)を年間を通じて提供していますが、新たなエネルギーセンターは最大 2,200 戸の住宅にサービスを提供する能力をもたらします。このネットワークに接続されている居住者の暖房費(加熱費用)は、他の既存共同暖房システムと比較して 10% 削減されます。ちなみに、それらのシステムによる暖房費も個々の住宅を暖房する独立型システムによる暖房費の約半分です。したがって、このネットワークは環境、居住者、そして燃料不足の解消を目標とするイズリントンに真のメリットをもたらします。

アイアンモンガー・ロウ・バスとフィンズベリー・レジャーセンターにスイミングプールと施設をすでに提供しているネットワークに最初に接続されたのは、その近くにあるモアランド小学校でした。また、Colloide は周辺地域の若者に投資するためのイニシアチブを導入し、地元の学校、カレッジ、大学とのつながりを持ち、雇用スキルの向を目的として実務経験と職場訪問の機会を提供すると同時に、イズリントン特別区で地元の子供たちの自信を高めることを目標としています。

この暖房(加熱)システムは、他のシステムでは無駄にされている熱を再利用するため、特に環境に優しいシステムです。廃熱回収による暖房を本システムに接続された家庭や公共施設に供給することは、CO2 排出量を年間約 500 トン削減するのに役立ちます。

これは、関係者皆様の協力により、画期的な地域暖房(加熱)事業計画になっています。使用されている主要技術はアンモニアヒートポンプであることから、このプロジェクトは安価で環境に優しいエネルギーを地元社会に提供します」– Colloide 契約部長 Shaun Hannon(ショーン・ハノン)

– Colloide 契約部長 Shaun Hannon(ショーン・ハノン)

今後の地域暖房(加熱)の可能性

ヒートポンプを利用した熱回収の原理は、ロンドンだけでなく、世界中の地下ネットワークにも適用できます。ロンドンを例にとってみましょう:ここで 150 を超える通気孔を調査すると、廃熱を回収できる可能性のある通気孔が明らかになります。GEA のヒートポンプ技術は、画期的なバンヒル 2 プロジェクトから得られた経験と相まって、この関連で同社を優先的なパートナーにしています。世界中の地下鉄道を例にとってみると、ここでも GEA ヒートポンプ技術は廃熱回収に大きな可能性を提供し、その結果として環境・気候保護にも大きな可能性を提供します。

プロジェクトデータ:

開始: 2017
完了:2019
内部床の総面積: 617m²
契約:JCT の設計・建設契約
アーキテクト(事業計画立案者):Cullinan Studio(設計)
McGurk Chartered Architects(提供)
クライアント・プロジェクトマネージャー:イズリントン特別区評議会
主要な提供パートナー: TfL
構造工学技術者:Ramboll(設計)、McMahon Associates(提供)
M&E(機械設備)コンサルタント:Ramboll
QS: Gleeds
景観コンサルタント: J&L Gibbons
CDM コーディネーター: AECOM
承認された建物検査官: Islington Building Control
設計・建設請負業者: Colloide Engineering
芸術家:Toby Paterson(トビー・パターソン)
ヒートポンプシステム:GEA(設計、製造、設置)
テスト・試運転: Topic Plan
プロジェクトコンサルタント: Inner Circle Consulting
日照権: Right of Light Consulting
CAD ソフトウェア:MicroStation、Revit

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GEA の供給範囲

  • GEA ソリューション:ヒートポンプシステムのカスタマイズ
  • 加熱能力:1000 kW
  • 熱源:ロンドン地下鉄の換気空気 (18~30˚C / 64.4~86°F)
  • ヒートシンク:地域暖房水 (55~80˚C / 131~176°F)
  • COP:3.5(年平均)(1 kWh 電力 = 3.5 kWh 暖房(加熱))
  • 圧縮機の種類:GEA Grasso レシプロコンプレッサ
  • 自然冷媒:アンモニア
ヒートポンプ技術による地域暖房(加熱エネルギー)の脱炭素化

ウェビナー:地域暖房(加熱)

「ヒートポンプ技術による地域暖房(加熱エネルギー)の脱炭素化」と題する地域暖房(加熱)に関する GEA の Cooling Club (冷却クラブ)ウェビナーにご参加ください。デンマーク技術研究所のシニアコンサルタント Svend Vinther Pedersen(スベン・ヴィンター・ペダーセン)および GEA 地域暖房(加熱)の専門家 Kenneth Hoffmann(ケネス・ホフマン)が、地域暖房(加熱エネルギー)の脱炭素化方法と、ヒートポンプによる暖房費(加熱費用)の削減方法に関する洞察を提示します。
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