軽量の車や飛行機の部品の製造。建築材料の強化。生体適合性の組織スキャフォールド、血管移植片および医療用インプラントの形成。ハイテクエレクトロニクスや食品をより長く新鮮に保つ包装材の製造。これらの用途に使用することが可能な、完全に自然由来で、豊富で、容易に再生可能な素材を想像してみてください。これらのすべての用途に使用するために必要な特性と品質が、自然界で最も普遍的な構造分子であるセルロースのナノサイズの基礎的要素の中にあります。

木材パルプ (重量パーセントで約 50% のセルロース) 、パイナップルの葉、ブドウの皮、さらにはいくつかの細菌などの多様な天然源から抽出されたセルロースナノファイバーおよびナノ結晶は、私たちにとって本質的に安全で、そして材料や生体材料科学に革命を起こす可能性のある究極の「グリーン」な資源をもたらす有望な素材です。 

セルロースが豊富な惑星

人類は何千年もの間、木材、綿、サイザル、麻、その他の作物を含む世界の豊富なセルロースベースの材料を建設、繊維、紙および食品産業に利用してきました。 しかし、1977 年になって初めて、研究者は木材パルプセルロース繊維を物理的に剪断し、グルコースポリマーを破壊することなくナノフィブリルの均質化を行いました。それ以来、科学者たちは植物や他の生物学的出発材料から長くて薄いセルロースナノフィブリル (CNF) や、より短く、より棒状のセルロースナノ結晶 (CNC) 構造を切り出して、機械的、化学的、生体酵素的な方法を開発しました。

工業規模の生産プロセスの開発

進行中のナノセルロース研究では、この世界中で入手可能な高分子が、石油化学製品、複合材料および採掘された金属の代替となる、安価で生分解性の材料となれることを示されています。将来性を見込まれて、政府、産業界、学術界はナノセルロースの研究開発を強化し、最近になって小規模な工業規模のナノセルロース製造施設を設立しました。たとえば、スウェーデンの研究機関 (RISE) は、スウェーデンが 2025 年までにスウェーデンの林業資源からナノセルロースおよびナノセルロースをベースにした高性能材料および製品の大規模で持続可能な製造を実証するためのプラットフォームを設置することを目指すと述べています。

ナノセルロースの応用

無限の可能性

ナノ構造セルロースには、無限と言ってもよい可能性があります。ケブラー® よりも軽くて、鋼の引張強度の 8 倍剛性があり、ナノスケールのセルロースは導電性、高吸収性、耐熱性があります。シートおよび積層体または透明フィルムを含む他の構造に形成され、消費者、産業および生物医学用途のための多くの異なる高性能材料に組み込むことが出来ます。

紙からスーパーキャパシターまで

紙や板紙、コンクリート、プラスチックに強度を加えるだけでなく、ナノセルロースの特性を利用して、フォームやゲル、織物や接着剤の品質を改善しています。ナノセルロース複合材料は、再生不可能な炭素繊維およびガラス繊維に代わる強力で軽量で安価な代替物として開発され2 、プラスチック製の椅子やゴミ箱、車や飛行機用の部品など多様な製品を製造するために現在使用されている化石系プラスチックに代わる持続可能な代替品を提供できる可能性があります2 。CNC は、大型スクリーンやソーラーパネルの製造や、バッテリーやスーパーキャパシター、あるいは熱、光、電気、pH、圧力などの外部刺激に反応するスマート材料を製造するために利用できる可能性があります3、4 。ナノセルロースは、全く新しい医薬品送達材料、バイオセンサー、診断および化粧品の基礎にもなりえます2

また、ナノセルロースは小麦わらのような農業廃棄物を含む任意の植物源に由来します。私たちはいつか木や水を使わずに生産された紙に書いているかもしれません 3

ナノセルロースの最終製品用途に焦点をあてた継続的な研究開発と並行して、産業界はまた、産業および医療用途向けのナノセルロース材料を製造するための、持続可能で費用対効果の高い効率的な技術を開発しています。究極の目標は、エネルギーと資源の使用を最小限に抑え、廃棄物を削減する持続可能で環境に優しい産業規模の生産方法を開発することです。

ボトムアップ方式またはトップダウン方式

ナノセルロースはグルコースモノマー単位からセルロースポリマーを構築するボトムアップ方式、または植物の細胞壁および繊維を分解してセルロースミクロフィブリルまたはナノフィブリル、およびナノ結晶を放出させるトップダウン方式のいずれかを用いて製造することができます。 

主要なトップダウンナノセルロース製造プロセスには、CNC を生成するための酸加水分解、および CNF を生成するための高圧 (HP) 均質化 が含まれます。新しいプロセスも報告されています。

ナノファイバー抽出のための均質化

HP 均質化は、機械的せん断力を加えてセルロース繊維をそれらを構成するナノファイバーに分解します。せん断作用は植物細胞壁マトリックスを破壊し、セルロースミクロフィブリルの束を放出します。それからナノフィブリルを保持する水素結合を縦方向に破壊し、長いナノファイバーを遊離します。このプロセスは、軽質粉砕、酵素、またはpHを上昇させる化学物質を使用し前処理をすることによって補助することができます。CNF は木材パルプから主に抽出されますが、亜麻、麻、ニンジン、ジャガイモ、竹、ココナッツの殻、サトウキビなど幅広い種類の植物源が使用されています1

標準 vs NanoValve HP

GEA NanoVALVE テクノロジー

GEA は CNF を処理するための均質化技術のパイオニアです。低圧および高圧均質化の分野で数十年に渡り、技術的な、エンジニアリングの専門知識とノウハウを構築してきました。業界とのパートナーシップにより開発された当社の特許取得済みの CNF 均質化バルブである NanoVALVE HP は、より低い圧力で、かつエネルギーコストを低減して、より高品質の CNF の処理を高速化できます。標準バルブは、植物原料から 1,500 バールの圧力での CNF を処理し、一般的には約 5000 l/h の流速を可能にしています。これと比較して、当社の特許取得済みの NanoVALVE HP は、この圧力の半分 (700 バール) で動作し、流量は 14,000 l/h を可能としています。また、このシステムはより低い圧力で作動するので、処理する際のナノセルロースの加熱が少なく、ホモジナイザから出てくる CNF を冷却する必要性が減少します。

より効率的で持続可能な製造

GEA の CPT 均質化担当責任者である Silvia Grasselli 氏は次のように述べています。「我々は、長年にわたってセルロースナノファイバー生産のための均質化技術を積極的に開発してきました。NanoVALVE HP は、この新素材の製造プロセスをより効率的かつ持続可能なものにすることに重点を置いた研究開発の集大成です。バルブは、セルロースが通過する際に非常に特異的な流れの分布を生成し、均質化効果が最適化され、一定の、高品質のナノファイバーが製造されるよう設計されています。バルブ作動圧力を下げることと製品冷却の必要性を減らすことは、どちらもエネルギーを節約し、流量を上げることは効率を劇的に改善します。また、NanoVALVE HP は、はるかに低い圧力で動作するため、コンポーネントへのストレスも軽減され、これにより装置寿命が延びます。業界はナノセルロースの新しい用途を発見し続けています。ナノセルロースのユニークな特性は、私たちが日常生活で使用している多くの物質に革命を起こす可能性があります。GEA は、世界のどこでも安価で持続可能な方法でナノセルロースを製造できるようになる、信頼性の高い、堅牢で効率的な技術の開発に熱心に取り組んできました。」

参考文献


  1. Cellulose – Fundamental Aspects and Current Trends. Matheus Poletto and Heitor Luiz 著 ISBN978-953-51-2229-6.Chapter 8 Current Trends in the Production of Cellulose Nanoparticles and Nanocomposites for Biomedical Applications, pp 193-228.
  2. Postek Robert J. Moon Alan W. Rudie and Michael A. Bilodeau.Production and Applications of Cellulose Nanomaterials.編集者:Michael T. Tappi Press June 2013 ISBN:978-1-59510-224-9.
  3. VTT Technical Research Centre of Finland Ltd:http://www.vtt.fi/files/events/pulpaper10/nfcapplications_hph.pdf
  4. Joo-Hyung Kim, Bong Sup Shim, Heung Soo Kim et al.(2015) Review of Nanocellulose for Sustainable Future. International Journal of Precision Engineering and Manufacturing-Green Technology 56 2(2):197-213.
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